- 2018-06
教えてドクター【からだのこと、病気のこと】
病は気から…というけれど
〝病は気から〟ということわざがあります。好んで病気になる人はいないし、病気の多くは本人には何の責任もなく唐突に訪れるものです。しかし、気の持ち方が病気の経過に影響することはありえます。
人の体には素晴らしい機能があります。信じることが病気を快方に向かわせる機能です。新しい薬の開発では、ある成分を含む薬の効果を科学的に証明するため、服用するグループと服用しないグループの間での比較を行います。服用しないグループにも、色や形、味が同じで比較する有効成分を含まない薬を用意しますが、成分が含まれるかどうかは試験を行う立場の人にも試験を受ける人にも知らせません。そして設定された期間の後に判定を行います。不思議なことに薬の成分を含まないものを服用したグループの効果はゼロではないのです。外観を同じにしただけで薬の成分を全く含まないものを服用してもある程度の効果があります。これをプラセボ効果といいます。人の体がもつ素晴らしい適応能力だと思います。
他にも、笑うことが免疫力、抵抗力を高めるという説があります。病気になって悲観的になる気持ちは十分にわかります。それでも時には自分を信じることが必要かもしれません。
甲斐信博 院長
長崎大学医学部第2外科出身。
勤務医を経て、平成17年4月開業。